インターネットと特定商取引法の改正について

11月 30
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今年もあと1か月くらいと、年末年始を控え、御歳暮・クリスマス、予約と実はイン
ターネットでお買い物をされる消費者が増える季節でもある11月・12月です。ネ
ットショッピングの際、「お買い物ガイド」「特定商取引法について」や「ご利用規約」
なるものを一度は読まれてからお買い物をされると思います。この基となります特定
商取引法が改正され12月1日より施行されます。これに伴い今までの内容から少々
変更となる可能性がありますので、ショッピングされる方は再度ご確認の上ご購入を
検討した方がよろしいかもしれません。また、ネットショップ運営者様は見直しをよ
ろしくお願いいたします。

そもそも特定商取引法は何が定められた法律なのでしょうか?
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┃1┃特定商取引法って何?
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特定商取引法とは、事業者と消費者との間で生じるトラブルを未然に防ぐために、事
業者が販売に関する様々な守るべきルールを定め、違法かつ悪質な行為を防止し、消
費者を守る法律です。したがって、特定商取引法はインターネット販売だけを対象と
した法律ではありません。他にも下記の事項にも該当します。

訪問販売
 自宅への訪問販売、キャッチセールス、アポイントメントセールスなど。
 
通信販売
 新聞、雑誌、インターネットなどにより郵便、電話などの通信手段により申込を受
 ける販売。
 
電話勧誘販売
 電話で勧誘し、申込を受ける販売。
 
連鎖販売取引
 個人を販売員として勧誘しさらに次の販売員を勧誘させる形の販売方法。組織を連
 鎖的に拡大させ商品を販売。
 
特定継続的役務提供
 長期的・継続的に役務サービスを提供しこれに対する高額の対価を契約する取引。
 (エステ・語学教室・家庭教師・学習塾・結構相手紹介サービス・パソコン教室)
 
業務提供誘引販売取引
 仕事を提供するので収入が得られると勧誘し、仕事に必要であるとし商品等を買わ
 せ金銭負担を負わせる取引。
 

2からは、インターネットに関係する改正ポイントをご説明します。

12月1日より施行される特定商取引法では、これまで曖昧だった事業者と消費者の
取決めを明確にするもの、規制の強化を主とした事項、規制の抜け穴の改善と内容は
様々です。他の取引に関しても法律が改正されていますので興味のある方は、消費者
庁のホームページよりご覧ください。
http://www.no-trouble.jp/

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┃2┃返品表記の見直しを。記述がなければ8日間以内ならば返品可能に。
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インターネットで商品を購入し、本日商品が到着した。到着した商品が画面とは印象
が違うので返品の要請をした。特に返品に関する記述はなかったので返品を要請した
が対応に応じてくれない。

今までも返品の際、特約がある場合は明記しなければならないという規則にはなって
いましたが、実際には明記せずに、このような対応をとる事業者が多く存在しました
。通信販売の返品に関するトラブルは主に明確な記述のない事業者と消費者との意見
のくい違いにより発生します。しかし、特定商取引法の改正により返品に関して明確
なルールがある場合は、事業者は返品特約等へ記載し、記載をしていないのであれば
8日間以内に消費者より返品の要請があった場合応じなければならないというルール
が設けられました。(改正特商法第15条の2)

●返品特約への明記の仕方

~「返品の可否」~返品は可能かどうか?
記述例)
「初期不良」「不良品」「配送途中の傷・破損」「誤送」が認められた場合のみ対応
させていただきます。それ以外のお客様都合などの理由による返品は一切お受けでき
ません。・・・等

~「返品の条件」~返品希望の場合の条件は?
記述例)
返品・交換は、未開封、未使用のものに限らせて頂きます。商品到着後、3日以内に
メールで返品のご連絡の上ご返送下さい・・・等

~「返品の際生じる送料の負担」~返品の際、送料はどちらが負担するのか?
記述例)
破損商品の返品に関しては弊社負担にてご返送ください。お客様のご都合による返品
は、送料・手数料ともにお客様ご負担でお願いします。・・・等

これらの記述を返品特約やご利用ガイドなるページへわかりやすく記載することが必
要となります。ネットショップ経営者様は、12月1日の施行を前に今一度ページの
見直しをお勧めいたします。
※広告を載せる際にも返品特約がある場合は、広告中に書く必要があります。

また、ユーザー様は、これらの明確な表記がない場合、「届いてから8日間以内であ
れば、送料を消費者負担で返品することが可能」となります。応じない場合は、特定
商取引法の違反を訴えることができます。

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┃3┃承認なしで電子メール広告配信は禁止。
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迷惑広告メールの増加により配信停止を事業者に申し出たところさらに多くの迷惑広
告メールが届くようになった。
以前商品を購入したネットショップから頻繁に広告メールが届く。

法の施行に伴い、ネットショップ運営者様は以前買っていただいたユーザー様へ電子
メールアドレスを登録いただいたからといって新商品のご案内や広告の電子メールを
勝手に配信することはできなくなります。「オプトイン規制」といいます。(改正特定
商取引法12条の3等)これは、年々増え続ける迷惑広告メールへの規制です。
また、事前に配信の有無の承諾を得たとしてもユーザー様がいつでも配信を停止でき
るように電子メールへわかりやすく配信停止のご案内を記載しておく必要があります

※1広告電子メール配信の業務を委託している場合は、配信承諾の有無の記録は委託
先で確実に保存し管理する必要があります。
※2電子メール広告の規制は携帯電話のショートメールを利用した広告も規制に該当し
ます。

ネットショップ経営者様は営業活動の場は減少するかもしれませんが、新規ユーザー
様に一切営業活動ができない訳ではありません。また電子メールを活用した営業の業
界の存続も規制されることになるわけでもありません。

広告電子メール規制の除外事項
・契約の成立の確認・発送案内等電子メールでの連絡の際、同電子メールへ広告の掲
 載の場合
・メールマガジンの承認を得て送信する電子メールの一部へ掲載されている広告の場
 合
・フリーメールを使用の際に掲載される広告について

事前に配信承諾の取り方も事業者から消費者への一方的なものでは、意味がありませ
ん。現状、何の記載もなく収集した電子メールアドレスへ広告のメールを流していま
したネットショップ経営者様はユーザー様の広告承諾の有無の取得をご検討ください
。下記に承諾の取り方の悪い例と良い例をあげてみました。

~事前に配信の有無の承諾の取り方の例~
×例)
利用規約などのページへ
「今後当店からのお知らせを受け取ることを承諾します。」
と一方的にユーザー様が拒否を選択できない文章での記載。

○例)
注文画面などのページへ
□今後当店からお知らせメールを受け取ることを希望します。
 (希望しない場合は、チェックを外してください。)
と購入ユーザーへ承諾を選択できるかたちでの記載。

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最後にすでにご存じの方がいるかもしれませんが、個人的に疑問に思ったことに少々
お付き合いください。
クーリングオフ制度についてです。皆さんご存じのクーリングオフ制度。一度契約し
てしまった契約を解除できる制度ですが、
「インターネット販売の際は、改正特定商取引法を適用して契約を解除(返品)すれ
ばいいのではないか?」
「インターネット販売でのクーリングオフ制度と返品の違いって何?」
ここで注意していただきたいのですが、そもそも”通信販売(インターネット販売含
む)はクーリング・オフ制度の対象にはならないようです。”
対象にならないのであれば、これからは、返品特約やご利用規約をよく読んでからイ
ンターネットで商品の購入はした方がいいですね。

                                  (ai)