費用を抑えてサーバーを導入する

7月 31
Top > ニュース >費用を抑えてサーバーを導入する

皆様こんにちは。天気がパッとしない日が続いており、いつになったら夏が来るのだろうと心待ちにしておりますが、なかなか来てくれません。それでなくても北海道の夏は短いのに、今年は本当に夏を迎えることなく秋になりそうな感じです。最近の天気と同様に景気もパッとしない日が続いておりますが、〝より少ない投資でより大きな効果を〟をテーマに今回はサーバーについてご紹介したいと思います。

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
┃1┃サーバーの役割について
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
 サーバーのお話ですので、まずはサーバーの役割について見ていきたいと思います。サーバーと言っても用途によって様々な種類がありますが、基本的にはデータを集中して保存し、管理するというのが大きな役割になります。簡単に管理するデータの種類によって分類すると
 ・管理(メイン)サーバー ・・・ユーザーやコンピューター等の情報を管理する
 ・ファイルサーバー    ・・・フォルダやファイルを共有する
 ・プリントサーバー    ・・・プリンタを共有し、印刷情報を管理する
 ・アプリケーションサーバー・・・システムを稼働させる
 ・データーベースサーバー ・・・データーベースを管理する
 ・メールサーバー     ・・・メール情報を管理する
 ・セキュリティサーバー  ・・・ウイルス定義等の配布や管理をする
 ・バックアップサーバー  ・・・各種データのバックアップをする
呼び方や機能に明確な定義はないのですが概ねこのようになります。これはあくまでもデータの種類で分類した呼び方ですので、実際にサーバーを設置する際には種類毎にサーバーを用意する必要はなく、1台のサーバーで複数の役割を果たします。1台のサーバーに沢山の機能を担わせるとサーバー機の動きが鈍くなり、全体のパフォーマンスが低下しますので、そうなった場合にはサーバーを複数設置して負荷を分散します。

ファイルやプリンタの共有が目的であれば、Windows XPやWindows Vista等のクライアントOSだけでも可能ですが、ここで重要なのは集中して管理するということです。たとえファイルを共有できたとしても、日々利用するデータが各端末に点在しているという環境は、
・他のパソコンからアクセスされると重くなり自分の作業効率が悪くなる
 ・作業中に突然パソコンがフリーズするとファイル共有者の作業も道連れにしてしまう
 ・バックアップが各パソコン利用者任せになる
等の見えないリスクや管理コストがかかります。サーバーの導入により、ファイルのアクセスは誰にも影響を与えず、バックアップ等の障害対策はサーバーにだけ集中すればよくなりますので管理コストを節約することができます。

事項からはサーバーOSの種類やエディションをWindowsクライアントに親和性の高いWindows Server製品に特化してご紹介します。

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
┃2┃ファイルとプリンタの共有ならばWindows Storage Server
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
 ファイルとプリンタの共有ができればよいということであれば、Windows Storage Serverという製品をお勧めします。皆様もNASという単語を見たり聞いたりした事があると思いますが、ネットワークに接続してファイル共有する機械の総称です。量販店などでも売られており、NASに使用されるOSはLinuxかWindows Storage Serverが主流です。Windows Server製品を利用する場合は通常CALと呼ばれるアクセスライセンスが必要になりますが、このWindows Storage ServerはCALが必要ありませんので、CALの費用を節約することができます。ただし、機能はファイル共有、プリンタ共有、セキュリティ管理に制限されており、データーベースソフトやメールサーバー機能を利用することはできませんが、バックアップサーバーとしての利用価値は十分あると思います。Windows Storage Serverを採用しているNASはハードウェアのスペックにより変わってはきますが、おおよそ11万円前後で購入できます。

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
┃3┃小規模オフィス向けのWindows Server 2008 Foundation
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
 ファイルとプリンタ共有だけでなく、アプリケーションやデーターベースも稼働させたい。またはサーバー機を今まで使ったことはないけど試してみたい。という方にはWindows Server 2008 Foundationをお勧めします。実はこれが今回のニュースで一番お知らせしたい内容でして、低価格ノートパソコンの「ネットブック」、低価格デスクトップの「ネットトップ」に続く低価格サーバーとなるかもしれません。販売形態はOEM各社からのプリインストールかバンドルという形になり、本体と一緒に購入することになります。Windows Server 2008 Foundationは基本的に標準サーバーのWindows Server 2008 Standardと同じ機能を持っておりますが、それぞれの機能の中で制限があります。簡単にまとめると、

           Foundation      Standard
  ユーザー数      15          無制限
  最大CPU数      1          4
  最大メモリ数    8GB         32GB
  仮想化の実行     不可         可
  共有フォルダ数     30        無制限

 となります。表をご覧になってお気づきになられたと思いますが、一番の特徴はユーザー数が15に制限されていることです。これはユーザーIDを15人分までしか作成することができないということで、つまりサーバー利用者が15人以下のオフィスや拠点ではこのサーバーで十分ということになります。共有フォルダ数も30あれば十分足りると思いますが、万が一足りなくなってもフォルダの構造を工夫すれば業務に支障が出ることは考えにくいと思います。ハードウェア上の制限を見ても、CPUの数が1個となっておりますが、これはコアの数を差しているのではなく、あくまでもパソコン内部の基盤上に差さっているCPUの数です。最近のコアを複数持っているCore2やQuad Core等のCPUも1個までは普通に使えますし、メモリにしても8GBまでサポートされますのでハードウェア上の制限も15人で利用するサーバーとしては十分だと思います。機能上の制限でもう一つあるのは仮想化ができないということです。仮想化はWindows Server 2008から実装された目玉機能の一つで、1台のサーバー上で別のサーバーを複数稼動させて、1台のサーバーが利用者から見た時に、あたかも複数あるように利用できる機能なのですが、この機能を利用することができません。もともと利用者が15人までという制限ですので、仮想化を使わなければいけないという場面はそうそうないと考えますのでこの制限自体も問題にはならないかと思います。それ以外は普通のWindows Server 2008 Standardと変わりませんので、ある程度のデーターベースやアプリケーションを稼働することが可能ですし、リモートデスクトップ(社外から会社のサーバーへアクセスする手段)やExchange Server(メールサーバー)やSQL Server(大規模データーベースサーバー)等を稼働させることが可能です。ただし、後者のSever製品の稼働についてMicrosoft社では推奨はしていません。ただ一つ注意しなくてはならないのは、FoundationのOSは64ビット版しか提供されないということです。利用しようと考えているアプリケーションやデーターベース製品が32ビット版の場合は動作の検証を行う必要があります。
 ではFoundationが実際にどれぐらいの金額で販売されているかといいますと、一番安いモデルのものですと7万円前後で購入可能です。しかしながらやはり低価格のモデルというのはハードウェア的にスペックがかなり低く設定されているため、自宅用のホームサーバーとしては良いですが、企業用のサーバーとしてはお勧めできません。サーバー本体の価格はあくまでもハードウェアのスペックにより大きく左右されてしまうので、同じハードウェア構成でStandardと比較してどのくらいお得になるかという観点で申し上げますと、Foundationの方が約50,000円安く購入できます。さらにFoundationは2項のStorage Serverと同様にCALが必要ありません。CALの金額は購入方法により価格が変わりますが、1CAL当たりおおよそ4,000円前後になります。15人で使用すると仮定するとCALの費用約60,000円が不要になりますので先の50,000円と合わせて約110,000円お得に導入することが可能になります。また、FoundationからStandardへのアップグレードパスも用意されているので、最初にFoundationを導入して業務拡大に合わせてStandardへアップグレードするということも可能です。まさにサーバーを導入してみようかなとお悩みのお客様には十分検討価値のある製品です。
 また、Foundationの提供期間はこのニュースの配信日時点で2010年6月までと発表されており、この製品が提供されなくなった場合は、価格比較を行ったWindows Server 2008 Standardを購入するしかなくなりますのでご検討はお早めにお願いします。

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
┃4┃さらに機能を求めるならWindows Small Business Server 2008
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………‥‥
 どうせサーバーを導入するならばグループウェア機能や、データーベースも一緒に導入したいとお考えの場合はWindows Small Business Server 2008というMicrosoftの複数のサーバーアプリケーションをセットにした製品がお勧めです。この製品にはStandardエディションとPremiumエディションという2つのエディションが用意されております。Standardという言葉がまたまた出てきて少しややこしいので表にまとめると

                 Standard    Premium
Windows Server 2008 Standard    ○        ○
Exchange Server 2007 Standard    ○       ○
Windows Share Point Services 3.0   ○        ○
Windows Server Update Services 3.0  ○        ○
Windows Live OneCare for Server   ○        ○
SQL Server 2008 Standard      ×        ○

となり、それぞれのエディションに複数の製品がセットに販売されているモデルになります。メインの機能について簡単に言うと、StandardエディションはWindows Server 2008のファイル共有機能+グループウェア機能。Premiumエディションはさらにデーターベースをプラスした製品ということになります。いずれの製品もユーザー数が75ユーザー、設置できるサーバー数はStandardが1台、Premiumが2台と制限されておりますが、それぞれのサーバーアプリケーションを単独で購入するより約100,000円お得になっています。また管理者の負担を軽減するように設定画面や管理者画面が最適されており非常に便利で、投資を抑えつつ様々な機能を利用したい場合に最適です。実は弊社内のサーバー環境はこのSmall Business ServerとWindows Server Standardの2つ製品で構築しています。

いかがでしたでしょうか。もちろん弊社がお客様にご提案するときは最適なサーバー構成をご提案はしておりますが、サーバー製品やエディションは今回紹介したものが全てではございません。今後の業務計画や問題などをお聞かせいただければ、それを見越したより良い製品をご提案させていただきます。是非、サーバーとソフトウェア・コンサルタンツを上手くご活用ください。
(TETSUYA)