著作権、知らずに侵していませんか?

10月 01
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今回はパソコンにまつわる著作権のお話です。
著作権と聞くと、何やら小難しいものに聞こえますが、実際はどんなものでしょう?
最近、知的財産権(知的所有権)という言葉がよくクローズアップされていますが、
これは大きく2つに分けることができます。1つは特許権、実用新案権、意匠権、商
標権といった工業所有権。そして、もう1つが文化的な創作物を保護の対象とする著
作権で、これは「著作権法」という法律で保護されています。
 文化的な創作物とは、文芸、学術、美術、音楽などのジャンルに入り、人間の思想
感情を創作的に表現したもののことで、著作物といいます。またそれを創作した人が
著作者です。

 工業所有権は、登録しなければ権利が発生しません。これに対して著作権は、権利
を得るための手続きをなんら必要としません。著作物を創作した時点で自動的に権利
が発生し、以後著作者の死後50年まで保護されるのが原則です。
 さて、何故今回は著作権について取り上げたかといいますと、コンピューター(CD
-R)やインターネットの普及によって、著作権の侵害が深刻な問題となっているから
なのです。
 CD-Rドライブの普及によって初心者でも気軽にCDのコピーが可能となり、インター
ネットやそれを利用したファイル交換ソフトによって、他人とのデータ交換も容易に
なりました。しかし手軽に出来る反面、著作者の権利についての認識度は高いとはい
えません。
 例えば、買ってきたCDを自宅のパソコンでCD-Rに焼いて複製したり、音楽ファイル
としてパソコン上に保管したりして複製することは、著作権法上では複製権として認
められています。しかし、複製したものを自分のホームページ上で公開したり、ファ
イル交換ソフトを利用して他人と共有した場合、これは著作権法違反となります。
 近年、音楽業界ではCDの売り上げ減少の原因の一つとして、CD-Rの普及やファイル
交換ソフトの存在を槍玉に挙げています。近頃見かけるようになったCCCD(コピーコ
ントロールCD)も、複製防止の為に開発されたものです。このCCCDは問題点も多く、
再生できない機械があったり(パソコン上では、専用の再生ソフトでしか再生できな
いようです)、再生できる機械でも場合によっては機械の寿命を縮めてしまいます(
コピー防止の為に意図的な不良信号が入っており、頻繁な読み込みを行う為)。
 このようなものを導入しなければならないほど、複製問題が深刻化しているとも言
えます。

 全米レコード協会(RIAA)は今年9月8日、「著しい」著作権侵害により数百万ドル
の損害をもたらした可能性があるとして、ファイル交換を行っていたとされる人物を
相手取り、「261件」の訴訟を起こしたことを明らかにしました。この訴訟における
被告の多くは3,000ドル程度の和解金を払って和解することになるようです。
この訴訟は、止まらないファイル交換に対してのある意味牽制とも言えるものです。
これでファイル交換の流れが止まるのか、加速しつづけるかどうかは不透明な状況
ですが、日本でも同じような訴訟が起きることも考えられます。
 複製は音楽に限ったことではありません。例えば、Windows等のOSやOffice等のア
プリケーションソフトも、多くの人が気軽にコピーしたり配布したりしています。
 例えば自分の持っていたソフトをCD-Rでコピーして、オリジナルはオークション等
で売ってしまった場合や、例え社内で使用する場合でも1つのCDで複数のパソコンに
インストールして使用している場合、会社で使用しているソフトをコピーして自宅の
機械にインストールするなどの行為は著作権法違反にあたります。
日本でも以前に、
・Adobe社の画像ソフトPhotoShopを1本だけ購入して社内の複数の機械で使いまわし
 ていたのが発覚し、その会社に対して訴訟を起こされた。
・ある会社員がOfficeやPhotoShop等を大量にCD-Rへコピーしてオークションサイト
 で販売しようとして逮捕された。
等の事例があります。
 ソフトの複製は、大抵の場合は使用許諾内の制限事項として禁じられています。
  ※保管のための個人的なバックアップは大抵認められています。
  ※使用許諾は、パッケージを開けた時点で承認したとみなされます。
 ソフトウェア業界も複製対策として、特殊な登録システムやインターネット認証シ
ステムを導入してきていますが、簡単に複製を止めることは難しいようです。

 ホームページにおいても、著作権が絡んできますので、個人や自社のホームページ
で他人の書いた文や絵を使おうとした場合には、注意が必要です。
 新聞や雑誌の記事をそのまま文章として書き写すのは著作権侵害です。また、画像
としてスキャナで取り込むのも当然ダメです。
 もちろん正当な引用(引用部分をカギカッコで括るなどはっきりさせ、引用元や著
作権者を明記して、引用部分が従、自分の書いた文章が主となる)なら大丈夫ですが
「引用」を越えた使い方にならないように気を付けてください。
 絵や写真も著作物ですから、著作権者に無断で使用することはできません。雑誌の
写真やイラストをスキャナでとりこんで載せることも著作権法違反です。他のホーム
ページに載っている画像や写真も同様です。
 写真の場合、著作権の他に肖像権が関わってきます。「肖像権」というのは誰でも
持っている権利でして、一般の人がむやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌
な思いをしないようにするための権利です。だから、友達の写真を無断でホームペー
ジに載せるのも肖像権の侵害となります。かならず許可をとってからにしましょう。
 また、会社や商品等のロゴには商標登録されているものが多いので、これも勝手に
使用することは避けなければいけません。
 ちょっと深刻な話になってしまいましたが、普段「著作権」というものは、あまり
なじみの薄いものだと思います。知らない間に誰かの著作権を侵害したりすることの
ないよう、お互いに気をつけていきましょう。

 さて、お話は変わりますが、先日またもやWindowsの新たなセキュリティホールが
発見されました。脆弱性の影響を受けるWindowsは、最新版のWindows Server 2003を
筆頭に、Windows 2000/XP/NT Workstation 4.0/NT Server 4.0/NT Server 4.0, Term
inal Server Editionです。Windows Me/98にはセキュリティホールの影響はないとい
うことです。
 最大深刻度は、最高レベルの「緊急」に指定されており、8月に猛威を振るったBla
sterワームと同じような問題を引き起こす可能性があるとのことです。
新たなウィルスが出てくる前に、WindowsUpdateを利用して最新の修正ファイルを導
入することをお勧めします。

                                 (R.K)